学校ホームページに生徒の顔写真を載せる場合の注意

生徒の顔写真を学校ホームページに掲載して大丈夫か?

中学、高校などの学校ホームページを閲覧していると、学校生活の紹介などで生徒の顔写真とともに氏名や学年が明確にわかる記事が掲載されているのを時々見かけます。これは、昨今の個人情報保護の観点からは非常に良くないと思います。

インターネット上で、誰もが閲覧できる状況で、生徒の個人情報を公開するのは例えると生徒の顔写真と氏名、学校名などを衆人環視の新宿駅構内に張り出すようなものであり、誰にどのように利用されるか分からず、生徒が無用なトラブルに巻き込まれる恐れのある無神経な行為であると思います。

本稿では、個人情報保護の観点からこのことを考えてみたいと思います。

生徒の顔写真は個人情報

基本的な理解として、生徒個人を特定できるような顔写真は、個人情報です。(個人情報保護法第2条1項)

生徒の顔写真や氏名などの個人情報を学校ホームページに掲載する行為は、生徒の個人情報を第三者に提供することですので、個人情報保護法23条の規制を受けます。

個人情報保護法23条1項

個人情報取扱い事業者は、次に揚げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。 以下略。。。

また、学校は、生徒や教職員の名簿を管理しているはずですので、当然に個人情報取扱事業者です。(保護法2条5項)

したがって、学校(個人情報取扱事業者)が、生徒の個人情報(顔写真、氏名等)を学校ホームページに掲載(第三者への公開)するには、本人および保護者の同意が必要です。

学校ホームページで考慮すべきことは?

生徒個人が特定できる写真を学校ホームページに掲載するときは、生徒本人および保護者の同意を文書で得ること等を、運用ルールに明確に記載することが必要です。

  • 生徒本人および保護者の同意を文書で得る。
  • 必要以上に明瞭な写真は使わない。(明瞭な写真は悪用の恐れがある)
  • 生徒の名前は、姓のみとする。(山田太郎君ではなく、山田君とする)
  • 生徒が賞状を持った姿を撮影するときは、賞状の氏名・学年が読み取れるほどの明瞭な撮影は避ける。または、賞状部分にボカシを入れる。

原則として、生徒個人が特定できるような写真は、学校ホームページには掲載すべきでないと思いますので、生徒達が映り込むような写真を撮影するときには、配慮が必要です。

  • 集合写真等では、解像度を下げて生徒個人が特定できないようにする。
  • 学校生活紹介等では、生徒の正面撮影は避け、横顔または後ろ姿の撮影とする。
  • 写真をクリックしたら拡大するといった機能は廃止する。

昨今は、インターネットがからんだ児童生徒が事件に巻き込まれるというニュースをよく見かけるようになりました。児童生徒の顔写真、氏名、学校名、学年、部活動などがインターネットで公開されることの危険性を学校関係者はよく理解すべきだと思います。これが、諸外国であれば誘拐される恐れもあります。。。

補足
顔写真は個人情報か

保護法2条1項によれば、「生存する個人に関する情報であって。。。特定の個人を識別できるもの。。」とされており、顔写真も個人情報と解釈できます。また、個人情報保護委員会発行の個人情報保護ハンドブックでは、顔写真は個人情報であると明確に記載されています。

顔写真は保護法23条の規制対象である個人データなのか

顔写真は、個人情報であったとしても個人データではないから、保護法23条に規制されないという議論があります。仮にそうであったとしても、顔写真が個人情報である以上、写真を撮影するときには、その写真の利用目的を本人に通知する義務があります。本人が拒否した場合は、写真撮影や写真の利用ができないということです。実際の学校現場では、写真撮影の度に同意を得ることは現実的ではありませんので、あらかじめプライバシー・ポリシーを規定しておくことになるでしょう。

文部科学省の見解

文部科学省の見解は、保護法による解釈はともかくとしても、次のようになっています。

生徒・学生の顔が判別できる写真、動画等も個人情報に該当するため、ホームページでの公開等の利用時にはあらかじめ本人の同意が必要です。(文部科学省発行「情報公開にあたっての留意事項」より)

公立学校の場合

本稿では、個人情報保護法の観点から考察しました。なお、公立学校の場合は、地方公共団体の個人情報保護条例も適用されます。

肖像権の観点から

個人情報保護の他に、肖像権についても補足しておきましょう。

人物が写りこんだ写真では、肖像権も問題となります。肖像権は、個人情報のように法律で明確に規定されたものではありませんが、「人の有するみだりに自己の容貌等を撮影されない法律上保護される人格的な利益」とされ広く認められています。

ようするに、自分の容貌を写真に撮られて、他人に勝手に使用されたら気持ちの良いものではありませんよね、ということです。

そこで、肖像を無断で撮られて、公表する場合に精神的苦痛が社会通念上受忍すべき限度を超えるときに肖像権を違法に侵害しているとされるようです。

一般に、肖像権侵害の判断ポイントは、次のみっつとされています。

  • 写っている人物が誰であるか、特定できるかどうか。
  • 撮影した場所や状況が、本人が撮影されることをまったく予測していない私的な場であるかどうか。
  • 写真のメインの被写体であるがどうか。

肖像権については、明確に規定された法律がないため、裁判で判断されることになるようです。いづれにしても、個人情報保護の観点から慎重に取り扱えば、肖像権の点でも尊重されると思います。