市販ソフトは著作権法で保護されている

店頭で市販されているソフトウエアは、著作権法で保護されています。このことを、漠然と理解している人が多いと思います。本稿では、どのような仕組みで著作権法が市販ソフトウエアを保護しているのかひも解いてみたいと思います。

一般的に、プログラム本体とそれに付随したマニュアル類を含めて「ソフトウエア」と呼びます。本稿では、このプログラムについて考察します。

プログラムは著作物

著作権法でのプログラムの定義は、次の通りです。

法第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(中略)

十の二 プログラム 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。

(以下略)

また、プログラムは、著作権法で著作物として例示されています。

(著作物の例示)

第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。

中略

九 プログラムの著作物

プログラムの著作権は開発会社に帰属する

プログラムの著作権は、そのプログラムを開発した個人に帰属するのが基本です。しかし、企業の発意により担当者が業務として開発した場合は、著作権はその企業に帰属します。

第十五条2項 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

これにより、いわゆるソフトウエア開発会社が法人としての著作権者となります。

複製権、譲渡権を行使してプログムを販売する

著作権者であるソフトウエア開発会社は、複製権を行使して開発したプログラムのインストール用ディスクを作成します。

(複製権)

第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

そして、譲渡権を行使してそのインストール用ディスクを販売するわけです。

(譲渡権)

第二十六条の二 著作者は、その著作物をその原作品又は複製物の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。

譲渡相手に対してプログラムを利用許諾する

販売したインストールディスクに格納されているプログラム複製物は、購入者の所有物となります。購入者は、所有物であるプログラム複製物を自由に使おうとします。

(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)

第四十七条の三 プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において実行するために必要と認められる限度において、当該著作物を複製することができる。ただし、当該実行に係る複製物の使用につき、第百十三条第二項の規定が適用される場合は、この限りでない。

プログラムの販売側としては、販売したプログラム複製物がさらに何台ものコンピュータにインストール(複製)されては商売になりません。

そこで、「第四十七条の三但し書き」を利用します。

(侵害とみなす行為)

第百十三条 次に掲げる行為は、当該著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。

中略

2 プログラムの著作物の著作権を侵害する行為によつて作成された複製物(当該複製物の所有者によつて第四十七条の三第一項の規定により作成された複製物並びに前項第一号の輸入に係るプログラムの著作物の複製物及び当該複製物の所有者によつて同条第一項の規定により作成された複製物を含む。)を業務上電子計算機において使用する行為は、これらの複製物を使用する権原を取得した時に情を知つていた場合に限り、当該著作権を侵害する行為とみなす。

プログラム販売会社としては、購入者が無制限に複製しようとしたら著作権侵害となるようにしたいわけです。そのためには、何が著作権侵害になるのかを明確にして、購入者がインストールディスクを使う範囲を規制する必要があります。そこで、利用許諾契約書が登場するわけです。

(著作物の利用の許諾)

第六十三条 著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。

2 前項の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる。

(後略)

プログラム販外会社は、インストールディスクの購入者が、インストールディスクを利用できる範囲を、利用許諾契約書で明示して契約するわけです。プログラム販売会社にとってのメリットは、利用許諾契約書を利用することにより、利用許諾する範囲を細かく具体的に明示できることです。

インストールディスクの購入者が、利用許諾契約書で許諾された範囲を超えて利用すると、それは契約違反(著作権侵害)となります。

利用許諾契約に同意させる方法

利用許諾契約は、「契約」ですから、インストールディスク購入者に契約書に同意してもらう必要があります。いくつか方法がありますが主なものは次のようなものです。

  • インストールディスクのパッケージを開封したら契約に同意したとみなすと記載した許諾契約書をディスク外箱内に封入する。(シュリンクラップ契約)
  • インストール処理の先頭で利用許諾契約書を画面に表示し、「同意する」ボタンをクリックしないと、インストール処理が進行しないようにする。
  • インストールディスクを販売するときに利用許諾契約書に署名捺印させる。
著作権を侵害するとどうなる

著作権を侵害すると、著作権者から訴訟を提起され損害賠償請求されることがあります。たくさんのパソコンを使用する大企業が、日常業務で使用するパッケージソフトで著作権侵害をしてしまうと、その損害賠償額も多大になりがちです。企業のIT担当者としては、自社で使用しているソフトウエアで著作権侵害を起こすのは恥と思いキチンと管理する必要があります。

なお、大企業が組織的に著作権違反をし、その損害額が多大なものになると、悪質な場合は刑事罰も課せられます。