システム開発での著作権は誰のものか?

システム開発を外部に委託した場合、その成果物であるプログラムの著作権は誰のものでしょうか。開発費用を支払って開発してもらったプログラムだから当然に発注者のもの、と単純に考えたくなります。委託開発契約書で著作権について何も取り決めていないのであれば、著作権は開発企業のものです。

本稿では、そのあたりの仕組みを考えてみたいと思います。

システム開発での著作権は原始的には開発会社のもの

著作権は、著作物を作成した人・組織に帰属しますので、原始的には開発会社に帰属します。

(職務上作成する著作物の著作者)

第十五条2項 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

なお、請負契約や委託契約ではなく派遣契約の技術者が派遣先企業で開発したプログラムの著作権は、派遣先企業に帰属します。これは、派遣技術者は派遣先企業の指揮命令によりプログラム開発を行うのが建て前だからです。

発注元企業が委託開発契約で開発したプログラムを成果物として受け取った場合はどうなるのでしょうか。

成果物は、CDROM等に格納して納品されるのが普通だと思います。発注元企業は、開発費を支払った時点で、そのCDROMの所有者になるわけです。

(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)

第四十七条の三 プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において実行するために必要と認められる限度において、当該著作物を複製することができる。ただし、当該実行に係る複製物の使用につき、第百十三条第二項の規定が適用される場合は、この限りでない。

納品されたプログラムを複数のコンピュータにインストールして利用できるわけではなく、必要と認められる限度ですから通常は、たかだか1台のコンピュータにインストールして利用することになります。

そうなりますと、社内の複数のコンピュータにインストールしたり、グループ会社に展開してインストールすると、著作権侵害のおそれが出てきます。

発注元企業が成果物を自由に使うには著作権が必要

発注元企業が成果物であるプログラムを自由に利用するには、著作権が必要になります。著作権を得るには、開発企業から著作権の譲渡を受けるか(著作権譲渡契約)、または利用許諾(著作物利用許諾契約)を締結する必要があります。

著作権の譲渡を受けるものが、著作権を行使できるという点では、譲渡も利用許諾も同じようなものかもしれません。しかし、譲渡の場合は、譲渡した側は著作権を失い、著作物を利用することができなくなります。

著作権譲渡で注意しなければいけないのは、翻案権と二次的著作物に対する権利です。これらの権利については、譲渡契約書の中で明示的に記載していないと、譲渡されたとはみなされないことがあります。ふたつの権利が無いと、他の著作権の譲渡を受けてもあまり意味がありません。

(著作権の譲渡)

第六十一条 著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。

2 著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。

もうひとつ注意しなければいけないのは、著作者人格権です。著作者人格権は、譲渡することはできないので、著作者人格権を行使しない旨の確約をとる必要があります。(著作者人格権不行使特約)

不行使特約を締結していないと、理論的には著作物を公表したとたんに、著作者人格権の侵害とされることがありえます。

ライセンス契約

一般的に著作権譲渡契約によって著作権を得ようとすると、開発企業の抵抗を強く受けます。実務的には、著作物利用許諾契約(いわゆるライセンス契約)を締結することが多いと思います。

利用許諾契約書に記載すべき主な項目は次の通りです。ケースバイケースでの見直しは必要ですが。

  • 誰と誰の間の契約か
  • どの著作物についての契約か
  • 許諾を受けた者は著作物をどの範囲で利用できるのか
  • 利用できる期間はいつまでか
  • 利用の対価(ロイヤルティ)はいくらか
  • 著作者は著作者人格権を行使しない(著作者人格権不行使特約)

利用許諾契約にあたっては、その成果物をどのように利用するのかを戦略的に決めておかないと契約自体がまとまらなかったり、発注金額が大きく変動したりするので注意が必要です。

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