流動数分析とは?

流動数分析の手法は、工程管理ツールや改善ツールとして古くから利用されています。 この手法は、SEにとっても、現状調査・分析ツールとして有効ですので紹介します。 物や人の動き、液体の動き等の分析に適用できる手法です。

1.流動数分析とは

横軸に時間、縦軸に流動数(インプット累計数とアウトプット累計数)を描いたグラフを「流動数曲線」と呼びます。 ものの流れの数量的特性と時間の関係を目で見えるように表示した図表です。主に工程管理の用具として、 工程の進度把握、仕掛かり量のチェック、基準日程・リードタイムの計画・統制 等に利用されます。 流動数曲線により様々な分析を行うことを「流動数分析」と言います。

2.流動数曲線の書き方

(1)仕掛かり状況を検証したい品番と工程を選びます。次図は、工程Aで完成した部品ABが、 仕掛かり在庫ABとなり、工程Bに投入される場合の例です。

(2)仕掛在庫ABの前月末の棚卸し残高を起点に、その仕掛かり在庫への受け入れ実績 を累計した「インプットの累計線」を記入します。

(3)仕掛在庫ABの前月末を起点に、その仕掛かり在庫からの払い出し実績を累計した 「アウトプット累計線」を記入します。

3.流動数曲線の見方

(1)インプット累計線とアウトプット累計線の縦の差が、その工程の日々の流動数(仕掛かり在庫残高) を表します。横の差が、仕掛かり在庫の停滞日数を表します。

次図は、仕掛在庫ABの場合の例です。停滞期間は仕掛在庫ABの停滞期間、仕掛残高は 仕掛在庫ABの仕掛残高を示しています。

(2)従って、2本の曲線の縦の差が小さい時には欠品の危険があり、横の差が大きい時は、 在庫日数が長いことを意味します。

(3)工程の処理能力(投入数)は曲線の傾きで表されます。 例えば、B工程の処理能力(または投入数)が倍になれば、累積線の傾きは倍になります。

4.流動数曲線による改善の着眼点

仕掛かり在庫を減らすには、インプットとアウトプットの2本の累計線の距離をできるだけ短く することです。そのためには、どちらの累計線も直線に近いなだらかな曲線になるようにします。 累計線にムラがある場合には、その原因を調査し、なだらかな曲線になるように改善します。 なだらかな曲線になったら、仕掛かり数を減らしていきます。

(1)ロット生産の場合は、ロットサイズを小さくしないと、仕掛かり数を減らせない。

(2)仕掛かり在庫数削減の努力は、線の間の距離の縮まりとして表れる。

(3)線の間が平行でないときはラインバランスが悪い。
線間が開いていくときは、前の工程が進みすぎているか、後の工程が遅れています。線間が縮まっていく 場合は、前工程が遅れているか、後工程が進んでいます。

(4)線が交差するのは異常。
線が交差することはありません。交差するということは、仕掛かり在庫数がマイナスであることを意味 してしまいます。流動数曲線の描き始めの残高に間違いがあったか、受け払い実績に誤りがあります。

5.流動数曲線の活用例 -スーパのレジへの適用例-

スーパのレジへの適用例を紹介します。

(1)スーパのレジに並んでから、精算を済ませてレジから出るまでをひとつの工程と考えます。

(2)縦軸に客数、横軸に時間をとり流動数曲線を描きます。レジの待ち行列に並んだ客がインプット累積線、 精算が完了してレジから出た客がアウトプット累積線で表されます。

(3)したがって、累積線の縦の差が待ち行列に並んでいる客数、横の差が待ち行列に並んだ時間(待ち時間)を表します。

(4)上図の例では、午後4時半頃から5時頃にかけて待ち行列が長くなり、客の待ち時間は最大30分位になります。 待ち行例は4時45分頃が最も長くなります。

(5)レジの処理能力を上げた場合。レジの台数を増やした場合。等の改善について検討することができます。 例えば、午後4時半頃からレジを2台体制にした場合の行列の長さや待ち時間を、図からシミュレーション することもできます。